新しい1年は、急がなくていい
ー 今日を生きる、という抱負 ー

よく聞く言葉があります。
年が変わったから、心機一転。
新しいことを始めよう。
今年こそは、これを達成しよう。
気づけば、
「今年こそは」という言葉だけが
何度も頭の中を回っている。
SNSを開くと、
目標を決めろ、
抱負を書け、
だらけるな、と。
あちこちから、
そんな声が飛んでくる。
見なければいいのに、
なぜか見てしまう。
まだ何も始まっていないのに、
新しい年が、
少しだけ息苦しく感じる夜もある。
せっかく年が変わったのに、
もう置いていかれている気がして。

年が変わったからといって、
心まで一緒に切り替わるわけじゃない。
去年の疲れも、
うまくいかなかった気持ちも、
少し無理をした記憶も、
年明けと同時に消えるわけじゃない。
それは、
きっと、みんなわかっている。
むしろ、
ちゃんと走ってきた人ほど、
立ち止まる時間が必要になる。
頑張ることが当たり前になっていると、
休むタイミングを
見失ってしまう。
走り続けてきた分だけ、
立ち止まった瞬間に
急に静かさが押し寄せてくる。
それは、怠けているからじゃない。
根性がないからでもない。
ただ、
心が、
少し遅れてついてきているだけなのです。
特に、
人と向き合う時間が多かった人ほど、
年明けは、
ひとりの時間に戻るのが難しい。
誰かのために笑ってきた分、
誰かの話を聞いてきた分、
その反動は、
後からやってくる。
だから、
新しい年が始まったのに、
何も始られない自分を見て、
余計に焦ってしまう。
でもそれは、
何も変ではない。

新しい年が始まったからといって、
無理に気持ちを上げなくてもいい。
前向きになれない日があっても、
やる気が湧かない夜があっても、
それは、立ち止まっているのではなく、
ちゃんと戻ろうとしている途中なのかも。
世の中では、
幸せは「感情が高まる」ものだけだと
思われがちだけれど、
「落ち着くもの」でもある。
テンションが上がることより、
呼吸が深くなること。
盛り上がる時間より、
終わったあとに、
自分を嫌いにならないこと。
何かを成し遂げた実感より、
何もしなくても大丈夫だと思える感覚。
そういうものが、
じわっと残る夜の方が、
実は、長く心を支えてくれる。
新しい年に必要なのは、
無理なスタートダッシュじゃなくて、
静かな自分に戻る時間なのかもしれない。
立ち止まることは、
遅れていることじゃない。
次に進むために、
ちゃんと地面に足をつけているだけ。

僕は、
新しい年だからと、
プレッシャーをかけて
走り出させる人ではありません。
気持ちが追いついていないなら、
心を置いていかない時間を
大事にしたいと思っています。
誰かといることで、
もっと頑張らなきゃ、
もっと良くならなきゃ、
そう思わせる関係ではなくて。
一緒に過ごしたあと、
少し呼吸が楽になって、
自分のままでいいと思える。
そして、
また少しだけ、
本当に少しだけ、
頑張ってみようかな、
そう思ってもらいたい。
そんな時間を、
ゆっくり重ねていけたら嬉しいです。
新しい年は、
ちゃんと始なくてもいい。
まずは、
ほんの少しだけ口角が上がるところからで。






